今後、ポスティングはこのように変わる〜業界関係者から聞いたここだけの話

今回は広告主・ポスティング業者・投函員など業界関係者十数名の実話・実体験を基に、ポスティングと業界の未来像について予測してみます。
最新のツールを導入することも増えてきたポスティング業界・・・これからポスティングをしてみようという人は一読してみましょう。

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作業用ツールはスマートフォン搭載のGPSなどが一般的になる

ポスティング業界も技術革新の流れを受け、古いしきたりを捨てて新しいものを率先して取り入れる風潮にあるという意見が多く、時代の流れに沿うものとしてはスマホ搭載GPSの導入などが挙がっていました。
また業務効率化の一環として、原付バイクに代表される機動力確保の動きも見られました。

合言葉は「スピード」と「効率」、これに尽きるのではないでしょうか。

配布mapの代わりにスマホ搭載GPSmapが使用される

電子書籍やWEBに代表されるように時代はペーパーレス。
ポスティングの際にいちいち配布用mapを準備していては、手間もコストもバカにならないのも事実。
それに交通量の多い中、map片手の運転は非常に危険です。

現状でも既にポスティング中の投函員の動線をGPSで管理している業者が複数社存在します。

似たような活用例としては、投函員にはリアルタイムで「どこの配布エリアのどこの物件」に「チラシを何枚投函した」等の業務データをスマホに入力・送信させている・・・というのもありました。

ある程度、自分の好きなように活動できるのがポスティングの醍醐味の1つでしたが、上記の話に興味を示す広告主やポスティング代行業者が数多く見られた事から、今後は勤怠管理がシビアになっていくのは確実でしょう。

GPS搭載済みのスマホmapを貸し出す業者が増える一方、スマホを所有・持参していなければ今後は仕事に就けない可能性も示唆されます。
ただスマホを所有するだけでなく、市街地図や行動追跡アプリのインストールや操作に慣れていることも採用の条件にする声もありましたから、ITに弱い人にとっては耳の痛い話かもしれませんね。

原付免許・バイク持ち込みが必須になる

配布エリアの広範囲化に伴い、各自治体間の移動においては原付バイクを駆使したポスティングに完全移行したように思います。

例えば横浜市西区の横浜駅から同市港北区の菊名への移動にかかる所要時間と距離を考えた場合・・・広告主の要望でポスティングの時間帯に制限が設けられている場合などは、自動車並みにスピードの出るバイクを駆使しなければ難しいでしょう。

自転車やウォーキングしか移動手段がない投函員は現場のニーズに応えきれず、今後は雇用主から活躍の場を減らされる怖れがあるかもしれません。

原付バイクを持参出来ない場合、レンタルバイクという手段もあります。
それでも乗務には免許が必要、よって原付免許がポスティングには必須の時代になったと考えても良いでしょう。

活動内容は以下のような傾向が顕著になる

まず、業者間の競争が激化して単価割れするなど、今後は環境的に、経済的に楽になることはおそらくないだろうというのが全般的な見方です。
投函員を含めて業界関係者にとってはますます厳しいポスティングの時代に入るのは間違いないでしょう。

それでもこれを好機と捉え、何らかの有効な手段が講じられる人だけが生き残れる世界になるのかもしれません。

ポスティング対策ポストの普及率が更に加速する

例えば住環境メーカーのNASTA(ナスタ)がAmazonや日本郵便とコラボした次世代ポスト「D-ALL」。
最近はこのストッパー付きカバー開閉型前入れ後出しポストを神奈川県下の集合マンションでよく見かけます。

元々は大型メール便のスムーズな投函を目指して開発されましたが、ポスト投函口に強力なストッパーが付属しているため、第三者による新聞紙や政府刊行物、郵便や重要書類の抜き取り防止にも効果があるということで、現在急速にシェアを伸ばしています。

ただ、業界では投函の煩わしさから「ポスティング対策ポスト」とみなしており、加えてこのメーカーのポストのシェアが全国を網羅するのは時間の問題だと大勢が口を揃えていました。

物件のリノベーションやポスト周りの改装を通じて既存の集合マンションへのシェアを伸ばしているNASTA。
新築マンションと併せて現時点でも60%以上と高いシェアを獲得し、今後の大判チラシの投函では臨機応変な対応と工夫を強いられるのは間違いありません。
また仕事のやりにくさから、他業種への人材の流出が起きる可能性も否定できないという声も上がりました。

アルバイトが減り、業務委託化が進む

広告主やポスティング業者が雇い入れるアルバイトの人件費や福利厚生費をカットするため、外注の配布業務委託員として契約を交わす傾向が強くなっています。

アルバイターは給与保証が確約されなくなるため、ポスティング業界に残る場合は複数の業者や広告主と契約を取り交わして従事することになるかもしれません。

個人事業主としてクライアントと個別にポスティング契約を締結する

上記の流れが進めば、元請けのポスティング代行業者から離れ、二次請け(下請け)ではなく元請けとして広告主と個別にポスティング代行契約を結ぶ動きが加速しそうですね。

この現象はポスティング代行業者が東京都・神奈川県・埼玉県などの関東圏に近年増えた理由の1つにもなっています。

ルール違反の業者には実名公表の可能性が

現実的に神奈川県が定めた迷惑行為防止条例では、正当な理由もなくわいせつな広告物を郵便ポストに投函した場合の罰則として「100万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」が規定されています。そして条例に違反した場合、版元の広告主やポスティング代行業者だけでなく、投函員も処罰の対象になります。

業界関係者の一部から「モラルの低い業者は神奈川だけでもまだまだ多い。今後、条例改正で罰則が強化され、罰金の上乗せや業者名公表などの対策が取られるのではないか」という指摘もありました。

健全化を目指す業界の取り組みが今後、全国的に拡がりを見せるのではないでしょうか。

収入面でこのような方式に変わる

少なくともチラシばら撒きのポスティングからターゲットを絞った成約型ポスティング―具体的には「チラシ1枚につき何円」の単価報酬型から「成約1件につきマージン〇〇%」の成果報酬型に替わって徐々に普及するなど、現状とはまるで違う収入体系が確立されるだろうという予想がいくつか挙がりました。

単純労働から成果主義に移行する

日本最大の広告代理店である電通の2017年度調査によれば、日本企業の総広告費は6兆3907億円で前年比101.6%と、ここ6年連続で増加しています。

一般企業の広告費は年々増加の一途を辿っているのですが、広告費用の最適化を図るため、今後はWEB上のステルスマーケティングに代表される、特定のニーズ層をターゲットにした限定的なポスティングに移行する可能性も今では否定できません。

今後は枚数だけの単なるチラシのばら撒きから実売ベースの成果主義が導入され、ポスティングが単純労働ではなくなる上に各投函員の営業センスも問われるようになるかもしれません。

ここでの成果報酬としては、不動産であれば成約価格の1%が広告主からポスティング代行業者に支払われ、投函員にその10%が対価として支給される・・・といったケースが考えられます。
事実、神奈川県下のポスティング業者の中には業種を問わない形で営業経験者を募集し、業界参入を歓迎するムードが醸成されつつあります。

スキルやキャリアを持った優秀な人材の流出を防ぐ、まさに「誰でもいい」の頭数揃えから「人を選ぶ」の少数精鋭の時代に突入したのかもしれません。

まとめ

ポスティング業界の今後を占うと、どうにも悲観的な声ばかりが上がってしまうようです。
それでも大きな変化の中に大きなチャンスが眠っていることは間違いなく、時流に上手く乗れる人が業界内で、今後の主導権が握れるのかもしれない・・・多くの人の話からそう思わざるを得ませんでした。

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