昨今はチラシの投函禁止物件が増え、時として複雑・高度な状況判断を的確・迅速に下せる能力がポスティング側に求められる時代になりました。
この他にも「同じチラシが先に投函されていた」など、想定外のイレギュラー・ケースも次々に報告されています。
そのような中、この道10年のプロ投函員でも経験則が殆ど役に立たず、対処に困る新手の事例が次々に発生しています。
ところで、今しがたあなたの取ったその対処法、本当に大丈夫だったのでしょうか?
1つ対処を間違えば重大なトラブルに発展しかねない、代表的な5つの事例を基に一度、ポスティングにおけるご自分の対処力をチェックしてみましょう。
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ポスティングは的確な状況判断が求められる時代に
今や東京都23区の人口927万人に匹敵する、907万人を擁することとなった日本第2位の神奈川県。
特に大都市にして首都圏の一角である横浜は373万人と東京都に次ぐ規模を誇っています。
それだけの人口がいれば相当数の物件が建設済みでしょうし、きっと色々なトラブルに見舞われる確率だって高くなるでしょう。
特に人口密度の高い横浜市・川崎市でポスティングを経験した方でしたら、現場で何度も状況判断に苦しめられた事があるかもしれませんね。
投函上の配布ルート決め1つとっても知恵を絞る必要があるように、最近のポスティングはただ、郵便ポストにチラシを投函するだけの単純な仕事ではなくなりつつあります。
事例が複雑で高度化する一方で、的確かつ迅速な状況判断が以前にも増して求められてきたのではないでしょうか?
以下、ますます多様化する5つの代表的で難解な対処例について、解説を交えながらご紹介したいと思います。
ケース①「物件サイドの指示通り、チラシを管理室の前やラックの中に置いた」
1.そのような取り決めが事前にされていれば、そのまま従えばよい→OK(場合によっては条件付きでOK)
2.投函予定の分すべてを管理室の前やラックに置いて立ち去った→NG
基本的にチラシの投函可否は物件サイドで決めるものですから、指示された内容が「一部預り」の場合であっても投函側には従う義務があります。
従えなければ、配布責任者の指示に抵触しない限り、その物件への投函を諦めれば良いだけの話です。
ただ、出会い系を含むピンクチラシは、各都道府県の殆どの自治体で定められた「迷惑行為防止条例」に抵触するので、公序良俗の観点から置いただけでも法律に問われます。
他、不動産・金融など、業種によってはチラシを置かずに持ち去ったほうが良い場合があります。
不動産関係のチラシに関しては、例えば賃貸マンションの場合、入居者から一定の家賃収入で経営する物件サイドからしてみれば「営業妨害」の何物でもないので、置いてもすぐに廃棄されるかもしれません。
金融関係のチラシは法外な利息を謳っている場合、住人に対する迷惑チラシと判断されて即刻廃棄の対象になり得ます。
基本、殆どの広告主は各家庭のポストへの投函もしくは手渡しを配布代行の条件としています。
投函状況やクライアントの判断によっては、たとえ小部数でも投函員のルール違反に該当する「置き捨て」扱いになりますので要注意です。
ケース②「郵便ポスト周辺に『チラシご遠慮ください』の表示があった」
1.チラシ禁止と同じなので投函を行わずに去った→OK
2.別に遠慮する必要もなかったのでそのまま投函した→NG
日本人らしく言葉を婉曲にしたものですが、要は「チラシ投函禁止」と同義です。
従って投函は基本、出来ません。
他にも類似したケースとして「管理人の許可なくチラシ投函を禁じる」というものもあります。
この場合は2つの背景が考えられます。
・管理人自身にチラシ投函可否の裁量があり、チラシの種類で判断される
→一番多いのが管理人=大家(オーナー)であるパターンですが、たまに管理会社から派遣された管理責任者の一存(一任)で決定されるケースもあります。
・大家や管理会社の住環境に対する方針をそのまま伝えている
→従って管理会社から派遣された管理責任者からのメッセージではなく、大家もしくは管理会社からの意思表示となります。
このような場合でも、もちろん無断投函は厳禁です。
ケース③「投函先のエントランスや玄関に入ると、管理人がいなかった」
1.管理室の窓や出入口に投函の趣旨を明記した但し書きを貼っておく→OK
2.これ幸いとばかりに黙って投函した→NG
食品など不特定多数のユーザーを対象にしたチラシの場合、有害なものではなく有益なものと判断されれば、大目に見てもらえる可能性はあるでしょう。
それでもチラシの種類によっては歓迎されないものだってあります。
管理会社・管理会社の派遣管理人・大家などが常駐しない集合住宅などでは後日、チラシ投函の痕跡が見つかるとクレームが入ることも・・・
どうしても広報活動上、投函が必要な場合はクレーム覚悟で入れてください。
ケース④「ある日、マンションの管理人が変わっていた」
1.担当管理人が変わったので、投函できるかどうか一応確認した→OK
2.前任者はOKだったので、後任に断りのないままポストに投函した→NG
前任の管理人が投函OKだったからといって、後任の管理人もそのままOK・・・とは限りません。
- 物件の管理会社やオーナーが変わった場合
- 議決権を有するマンションの住民達が話し合って新たにチラシ投函を禁止する取り決めがあった場合
物件サイドの管理方針が少なからず変わりますよね?
そうすると、従来の投函可能物件が禁止物件に変わる可能性が高くなります。
また、管理会社から派遣された管理責任者が常駐する物件の場合、投函禁止の取り決めは管理責任者の一存であることは少ないのが現状。
むしろ、住民からの迷惑チラシの苦情を考慮した、管理会社側の方針が変わったケースが圧倒的に多い模様です。
そのため、
- 物件が新たに建て替えられる
- オーナーや管理会社・管理責任者が変わる
- 突然、配布先物件が投函禁止に変わる
など、何らかの大きな変化が物件サイドで認められた場合は必ず、投函可否の確認を取って雇用先の配布責任者に報告しましょう。
ケース⑤「全く同じチラシがポストの中に入っていた」
1.ポスティングを直ちに中止して配布責任者に連絡を取った→OK
2.自分には全く関係ないと思って予定通り投函した→NG
このような場合、他の投函員による「重配」の可能性が非常に高いため、直ちにポスティングを中止してください。
そして雇用先の配布責任者に連絡して状況を説明し、対策を取ってもらいましょう。
大抵はポスティング業者や広告主の、人員配置上の不手際が原因なのですが・・・
それでも厄介なケースがいくつかあります。
例えば、広告主が複数のポスティング業者を安い代行料で天秤にかけ、代行業務させているケースが挙げられます。
このケースでは、あなたを雇い入れているポスティング業者にとって重大な契約違反に当たる事実が確認されるまで、関係者はうかつに動かない方が賢明でしょう。
まとめ
以上、代表的な5つの難解な事例を通じてあなたのポスティング対処力をチェック致しました。
この他にもまだ数々の「複雑で高度な判断を必要とする」難解な事例がポスティング業界に散見しています。
「ただ体を動かして数多く投函すればよい」という単純で古い時代のポスティングは、終わりを迎えつつあるようです。
これからは「状況判断と対処に秀でた」投函員が業界から求められる時代になるでしょう。
何にせよ、自分勝手に物事を判断しないことが大事です。
判断や対処に困った時はすぐに雇用先の広告主やポスティング業者に連絡を取り、配布責任者から的確な指示を仰ぎましょう。